平蔵さんの事。 ~夜廻り猫を読んで~

 

夜廻り猫 1 今宵もどこかで涙の匂い

夜廻り猫 1 今宵もどこかで涙の匂い

 

 

夜廻りねこが発売された。本屋さんで予約したら「3冊入る予定だから取っときますよ。」ってなったんだけど発売日朝に行ったら店頭にはもう並んでなかった。

そして先日再び本屋さんに行ったら初回出荷版(カバー裏に夜廻新聞付き)が積んであったんで嬉しくなって1冊布教用に購入してきた。(実はまねっこ。)

「購入したんだからもう1回レビューとか書いちゃおうかな」って思って、読書メーター、ツイッターに続き、はてなで下書きを始めたんだがどうもうまく進まず、うだうだしてたら昨日本屋さんに行ったら初回出荷版がもう2冊しかなかった。

・・・やっべー、思った以上にはけるの早い。

ネットは早い方がいいのに(新刊の紹介)ぐずぐずし過ぎた。

なんで、あんまりまとまらないけどつらつらと思った事を書いてみる。

あっ、結構しっかりネタバレするんでネタバレ嫌いな人は読まないでください。

 

「夜廻り猫」は遠藤さんという猫が

「泣く子はいねがー 泣いてる子はいねがー。」と夜回りをし、つらかったり、人知れず頑張ったりしてる誰かの話をきくのが柱となっている。

原則、何かしてあげるとかアドバイスするとかなし。

つらい誰かに「心で泣いておったな。」と促して話を聞く。

52であかされるんだけど平蔵さんは誰かのつらい話を聞くたびに背中に傷を負う。

別の話でも平蔵さんの背中が傷だらけであるというエピソードがある。

この部分の事を思うとちょっと泣きそうになる。

 

お話の中でも空気として「平蔵さんは話を聞くだけ。」と流れたりするんだけど「話を聞くだけ」って本当はかなり凄い。

誰かのつらい話を聞くとき、えてしてアドバイスしたり、説教したりしがちだ。

でも平蔵さんは違う。

「話を聞くだけ。」そして語れるときは「おまいさんは大丈夫。」「おまいさんは頑張ってる。」って受け入れる。

語れない時もある。平蔵さんは黙って相手の話をじっと聞いて、自分のどてらをかけてあげたり、手を握ったりすることもある。そこに言葉はない。多分、それをするには物凄いエネルギーが必要だ。

アドバイスしたり説教を始めたりって、勿論、それが必要な時もあるけど、それを始めるともう他人事だったりする。

じっと聞くだけっていうのは相手のつらさの一部を引き受ける事だったりする。

平蔵さんは「にっこり」って自分で言ってこっそりその相手のつらさの一部を引き受ける。

「自分(平蔵さん)も傷つく、相手のつらさも消えない。意味ないじゃないか。」って語る猫に平蔵さんは「そうだなぁ」って受け入れる。これも否定しない。この否定しない平蔵さんがとても好きだ。

でも、相手のつらさは消えないけど、平蔵さんが引き受けてくれた分だけは減るんだよね。減らなくても平蔵さんが一緒に持ってくれる部分があるんでちょっとだけ軽くなる。それが大事な生命線になる時も凄くある。

 

だから平蔵さんの背中には傷が増える。「よっぽど弱いんだ。」って心配されるほどはげて傷だらけになるくらいに傷が増える。

でも平蔵さんは「にっこり」っていう。

その事を思うとなんだかきゅーって泣きたい気分になる。

そして、平蔵さんが大好きだって思う。

 

自分も平蔵さんのように沢山の人の話を平蔵さんのようにきくことはできないけど、縁のあった人たちの話は平蔵さんのようにきくことが出来るよう精進したい。

 

平蔵さんの友達の猫が平蔵さんをみて「自分はああはできない。」っていう場面がある。一緒に住んでる人がそれに対して「できないから違うから平蔵さんを助けてあげられる時がある。」って語る。(なんか該当部分を探し出せないんでうろ覚え。)

これもかなり好き。

それぞれみんなで一緒に生きていくってどういう事なのかを教えてくれる。

あと、重郎への「うまれた事への祝い」とか重郎への名前の贈り物とかわがままモネの事とかラピとその下の子の話とか、

「うぉー、これ、すっげ、いいんだよ。」

ってのは他にも多いんだけどきりがないんでまとまらないままここでおわりにする。

 

まだ、本屋さんに走れば「夜廻新聞」がカバー裏についてる初回出荷分が多分てにはいる。気になってる人は今走るんだ。

 

平蔵さん、素敵だよ。

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