好きなものを褒める時は何かを下げる事をやめたい。

これは自戒と、忘れられない憤りの書き出しなんで、読んでて楽しい話にはならないです。

 

結論を先に言ってしまうと「好きなものを褒める時に何かを下げる事をやめたい。」

「できれば好きなものを布教する時に何かを下げる事を止めてほしい。」です。

 

漫画、映画、小説、音楽、好きなものはたくさんあります。

自分の中に特別な作家がいて、推している作品があって、大好きが止まらない作品があって、知らない人にとにかく出会ってほしい作品があります。

そして今はネットが充実していてそれを手軽に言ったり、勧めたりできる環境が整っています。

 

つい、ひとつの作品や作家さんがぐぐぐっと自分に迫ってくると「これこそ至高」って盛り上がり、うっかり他の作品を下げてしまう事があります。

ネットは強い言葉の方が拡散力が強いし、ツイッターは字数制限が140文字なのでついつい省略すると自分が思っている以上に文章だけ読むと他の作品を下げている事があります。

あと、もう盛り上がりからか「こんな面白いものは他にはなく他のものはそこまで面白くない。」と言い切ってしまう事もあります。

でも、それ違うから。

「私にとって」が抜けてるから。

 

いや、いいんですよ。ネットだし、面白くなかったものは面白くなかったって言ってもいいし、詰まらんかっていってもいいと思う。それは自身の感想だから。

でも、曖昧に「他のものはそこまで面白くない。」と言われてしまうと、「他のもの全部をちゃんと体験したの?」とか意地悪く思ってしまうのです。

 

あと、布教が目的なら悪手だと思う。

「ファンは自分だけでいい。新規なんかいらない。こっそり自分だけが愛でてれればいいんだ。自分がパトロンになるぜ。まぁ、既存ファンとは仲良くしたいかな。」なら有効な手段にもなると思います。

でも布教目的なら駄目でしょ。

だって、漫画なら漫画ファンに、小説なら、小説読みなれている人に布教する方が成功率高いのに、最初から「他のものはそこまでおもしろくない。」とか雑に言い切るのって、その新規になりえるかもしれない人が大事にしている作品を、もしかしたら体験もしてないのに貶めてるから。

 

自分、例えばどんなに内容が正当であろうと平井和正栗本薫中島梓を下げながら他の作品勧められても絶対読まないし、意固地になって「読むもんか」って決意する気がする。

大島弓子は大好きだが、何故か吉野朔美を下げながら大島弓子を絶賛する人がいるから一時うんざりした時期もあった。

 

あとこれはもう粘着の私怨なんだけど漫画評論・研究家を名乗り、書籍を出したり活動している人がツイッターで、ある漫画雑誌が新規読者を沢山獲得した機会があった時に、一人の看板作家の作品が載っていない事をさして「これとこれが読めるから「不幸中の幸い」(大意)」と作品を名指して発言をしたことがあった。

その号、連載も読み切りも他にもすごい充実していたし、何より自分の大事な作家さんが何人も掲載していた。それを「不幸中」とされた事に憤り、それはないんじゃないんですかと返信したら、その方は「あぁ、その人のファンは読むでしょうけどね。」と返してきたのですよ。

その人の中で「不幸中」というのは間違いない話だったと意地悪な自分は思いました。

雑誌としての評価はないんだなと。

もう、頭の中沸騰するかと思うくらいに怒りでいっぱいになりましたが「そうかそういうスタンスの人で有名作家以外は眼中にないんだな。」と割り切りそれ以降その人の評論とかどうでもよくなったし、しばらくは時々流れてくる褒めてる作品をみると自分の中ではちょっとマイナスがつくほどでした。

 

何かを下げないと褒める事が出来ないってつまらないと思うんですよね。

だって、自分が至高だと思っている作品って別に何かと比べて至高なわけじゃないじゃないですか。その作品が輝いているから、自分にぐいぐい来るから至高であって、他とか関係ないと思うんですよね。

面白くなかった作品を面白くなかったっていうのはありでも。

何かを褒める時に何かを下げるのは下品だなぁって思うのです。

やっちゃいけない事ではないけど、やってる事によって新規読者の獲得を阻害してるし、たくさんの人に喧嘩売ってる事になるというのは自覚が欲しいなと思います。

 

自分、例えば漫画だと、今、連載中の作品でも「これぞ至高」が複数あってどれも一番で優劣がない人間だから特にそう思うのかもしれないです。

好きな作品を大好きな人が他の作品を下げてるのをみるとなんとも言えなく悲しくなります。

だって、自分が大好きな他の作品を雑にけなされてるから。

どっちの作品も大好きなら大好きなほど悲しくなります。つらい。

 

でも、自分も無意識にやりがちかなとも思うんですよ。

長く生きてきて古い作品を褒める時に、例えば「今は・・・」みたいな事を言ってしまう事はあるから。(まさに老害

でもそういうの絶対うんざりしちゃう人っていると思うから、勢いに任せて言いすぎないように気を付けたいです。

 

てか、好きは大好きを叫べばいいと思うの。

比べても別に際立つようで何かが際立つわけじゃないから。

すごい作品があっちにもこっちにも多いから気を付けたいなって思いました。

 

日本に生まれて、日本語が母国語で本当に死ぬほど感謝してる、日々。

なるべく健康に気を付けて長生きしなきゃ!!!