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誕生日を知らない女の子 読了

書評

誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち
黒川祥子 読了
満足感 星5

3度目読了
まだ幼い子供たちが薬を沢山飲みながら生活しているというのは中々ショッキングなんだろうと思う。
自分の中では当たり前の事だったので読書メーターでびっくりしているコメントを見るとちょっと呆然とする。当たり前が判ってないんだなぁ自分。
虐待された子供が大人になると同じように虐待をするという単純な図式は成り立たないが、そういう環境しか知らない子供がそのまま大きくなって同じように虐待をしてしまうというのは悲しいけど結果としてはありがちな話だ。
子供は親を選べない。それを身をもって知っている人たちはどれくらいいるんだろうか?
虐待をする親ほど子供にとって離れがたい親もいない。虐待がどういった形で子供たちに影響を及ぼすかは本当に千差万別だ。
子供は子供時代を持てずに、親のカウンセラー的立場に立つ子供も多い。自分はどうだっただろうか?やはり下の兄弟の面倒を見なければならないので子供時代はとても忙しかった。本書に出てくる子供たちも本当に色々な意味で忙しそうだ。これが氷山の一角かと思うと居ても立っても居られなくなる。
この子供たちが自分自身を取り戻すのに本当に沢山の時間と問題がやまずみだ死んでいった子供たちは本当にかわいそうだが、そこでお終いだったという事にちょっと憧れの気持ちを抱いてしまう。(もちろん亡くなった子供たちはかわいそうだし、1件でもこの悲劇はなくさなくてはならないと思う。)生き残ってしまった自分やここにある子供たちはどうすればいいんだろうか?マイナス算から始めなければならないのは本当に困難を極める。ただ必ず光はあって差し伸べる手もある。
自分も手を差し伸べられる人になりたいと思う。今生きていて幸せだと思う。そんな風に一人でも多くの子供たちや大人たちが思える日が来るといいなと感じる。
余談だが、虐待支援にしろ、DV被害にしろ介入は一人で行ってはいけないし、無理をしてもいけない。「夜回り先生」のような方もいるがそれこそ例外で教師や一人の大人にそこまで求めてはいけないし、またそこまで行ってはいけないと思う。必ずグループで事に当たる事。自分の出来る事しかしない事。燃え尽きないように気をつける事。でも見て見ないふりはしない事。たとえば匿名で通報するだけでもいい。一人でも多くの人が当たり前の事(通報は義務だ)が安心してできる日が来るように祈るばかりだし、微力ながら努力もしたいと思う。そのためにもこの本は一人でも多くの人に読んでほしいと思う。

以下、1度目、2度目のレビューです。よろしくお願いします。

幼児虐待、児童虐待、DV被害、性的虐待のサバイバー、治療者、援護者、支援者からの大切な一冊です。

幼児虐待、児童虐待、性的虐待からのサバイバーです。現在も解離性障害の為、通院治療中です。幼児虐待や性的虐待の犠牲者、被害者、加害者に強烈な後ろめたさを感じます。その後ろめたさを多少なりとも解消してくれるのがこういった本などを一人でも多くの人に紹介することでもあります。
 解離性障害離人症、健忘症、同一性障害、記憶障害について実例をあげ判りやすく伝えてくれます。沢山のサバイバーたちが同じように解離性障害によって苦しめられていることが判り涙が止まらなくなります。
 ただ、自分がこの本を読めているという事は現在安全な場所を保障されており、沢山の人たちの援助の中で生活している証明でもあります。
 今は腕のサポーター体の実感を確認してくれるため手放せませんが、カウンセリングの先生には「リストカット」の代わりだねと指摘されました。リスカはやったことはありませんのでちょっと新鮮な指摘でしたが言われてみれば納得の一言です。
 虐待やDVなどの支援はまず「知ること」から始まりますし、「知ること」事体が一つの支援となります。一人でも多くの人に現状を知ってほしいと思います。また自分も知りたいと思います。
 この本はその知ることの一助となる大切な1冊です。

 しかし、読んでいて愛知県の虐待に対する対応が日本で一番だという事を思い知る。もちろん完全ではないけど、弁護士さんのバックアップも組織としてちゃんとしてるし、虐待に対するネットワークもしっかりしていて医師やサポートをする人、される人を支えるチームがきちんと出来上がっている。虐待後の入院治療施設がきちんとあるというのも驚きだ。ベストではなくとも常にベターを目指し頑張っている方々を知るにつけ、ありがたい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 翻って、仕方ないとはいえ愛知県にしか虐待後の入院治療施設がないというのは淋しい限りだ。全国が愛知県レベルまであがれはどんなにいいかと思うし、その為に出来る事は一つでもしたいと思う。まずは色々な人に現状を知ってもらうことから始まると思う。私自身も知ろうと思う。

愛知県の虐待支援グループのCAPANのHPです。
お時間のある方は是非のぞいてほしいです。無関係な人は一人もいないと思います。
http://www.capna.jp/index.html